1991年10月に集英社文庫より発行された小説です。
1997年には映画化、1999年にはテレビドラマ化もされた作品だそうです。
私は映画、ドラマについては観たことがありませんでした。
主人公は中学3年生の良一。
ある日突然、同級生の野球部のエース徹也から試合のビデオを撮影してほしいと頼まれる。
その理由は、徹也の幼馴染で入院中の少女、直美に見せる為であった。
徹也は、野球の試合に全力を尽くし、良一も良い話し相手になって直美を勇気づけ慰める。
そんな中、直美から「あたしと心中しない?」と持ち掛けられる良一。
中学3年という思春期で感じる友情とほのかな恋。そして、生と死。
様々なことを諦めたり、冷静に見てきた良一にも心境の変化が起きていく青春小説。
三田さんの作品は初めてでした。
良一と徹也と直美という3名が主に主軸となって進んでいく作品で、それぞれ性格が全然違うというところは、読んでいてとても楽しかったです。
※ここからは若干のネタバレを含みます。
正直最後まで読んだ時、この作品はまだ終わっていないのではないかと感じました。
この先、良一が高校生になり、大学生になり、その時々の葛藤などを描こうと筆者が考えていたのか。
それとも、この先良一がどのように生きていったのかを読者自身の想像にお任せしたのか。
気になるような、肩透かしのような終わり方だとも思いました。
それぞれ微妙な心の動きは、とても中学生らしいですし、この年齢で生と死ということをここまで深く考える場面が多いというのは、なんだか共感できました。
管理人の身近での生死は、この頃でしたら親戚関係の生死ぐらいではありますが、丁度10代の子の自殺も増えてきていると報道され始めた頃ではないかと記憶しています。
苦しくて命を絶つ人もいれば、行きたくても生きられない人もいる。
なんて残酷なのだろうと感じる人もいるのだろうなと思います。
管理人にとっては、この小説に出会ったのが大人になってからでよかったと感じました。
同年代の頃に出会っていたら、とても苦しい気持ちになっていたでしょうから。
青春小説がお好きな方は、それほどの長編な内容ではないのでぜひ読んでみてはいかがでしょうか。