2017年11月にポプラ文庫ピュアフルより刊行された作品です。
あらすじ
通り雨が過ぎて虹が出た昼休み、高二の百瀬太郎は同学年の美園玲と運命的に出会う。美少女なのにクラスメイトとどこか距離を置いているクールな玲に、何故か百瀬はなつかれる。幼少期のトラウマで「嫌だ」と言えない性格もあって、文化祭の準備を手伝わされる羽目になり――。やがて、逃れられない過酷な出来事が二人を襲う。感動、切なさ、悲哀、愛しさ……涙が溢れる青春恋愛小説
冒頭、主人公の百瀬太郎が、彼女を運命の人として探すところから始まります。
文化祭でやる予定のイベントのテストモデルとして彼女を探さなくてはいけない百瀬は、携帯を持たない彼女に出会うのに大変苦慮します。
なかなかにして、現代社会において携帯を持たない高校生というのは本当に珍しいことでしょう。
管理人の高校時代でも、既に携帯を持たない人というのはほとんどいなかったように思います。
現代の高校生は、スマホを持っているので連絡を頻繁に取りやすいどころか、位置情報まで把握できてしまうようですね。
それに慣れてしまっているからこそ、連絡が取れない状態で目的の人に会うという大変さ。
また、なんとか彼女と出会えたものの、結局連絡手段がないので百瀬は彼女に携帯番号を教えますが、相手から公衆電話からかけてもらうように伝えることしかできません。
ひと昔前までは、携帯がなくても目的の人と出会えていたのに、携帯に慣れるというのはある意味不便なことですね。
そんな彼女と出会えたと思ったら、突然文化祭で落語をやりたいから手伝ってほしいとお願いをされます。
嫌だと言えない百瀬。ステージの枠はもうありません。
また、既に彼はたくさんの仕事を抱えていました。
この状況、管理人もよくあることなので非常に同情しました。
彼の嫌だと言えない性格に反して、美園玲は歯に衣着せぬ物言いで百瀬の周りに割って入っていく。
最初は驚きもしますが、彼女の話は筋が通っているため誰も何も言えません。
そして度々、高校生らしからぬ発言が見受けられる。
少しずつ、百瀬の中で彼女の存在が大きくなっていきます。
着々と進む文化祭の準備。
落語をやりたいという彼女の願いは叶うのか。
文化祭の準備の雰囲気などが青春感漂いつつ、百瀬と美園の距離感が甘酸っぱい。
少しずつ少しずつ引き込まれる感じもありました。
最後まで読んでみれば、君の優しい嘘がわかります。
もしよろしければ読んでみてはいかがでしょうか。