2017年6月7日に朝日新聞出版より刊行。さらに2019年12月6日に朝日文庫より文庫化された作品です。野間文芸新人賞も受賞されています。
2020年の今年、芦田愛菜さん主演で映画公開予定。
主人公の私(林ちひろ)は、出生直後から病弱だった。
そんな私をかわいそうに思うあまり、何にでもすがる両親。
そして「あやしい宗教」にのめりこみ、少しずつ家庭状況がゆがんでいく。
こちらの作品の感想は率直に言って「あっという間」です。
終わりも突然。
とても先が気になる。
けれど著者は先を書くつもりはないのでしょう。
新興宗教というのは、ニュースになっているものばかりではないので、この世の中たくさんあるのでしょうけど、やはり普通の生活と異なることを多少なりとも行うことがあると思いますので、そういったものに入信されていない方からすると異質に感じます。
両親が熱心なあまり、ちひろ自身の周りでもそれを知っている子たちはたくさんいるはずなのに壮絶ないじめなどはあまりなく、その分家庭内でそれをあまり受け入れられなかったちひろの姉や、親戚との距離感などが微妙な感じになっていきます。
めちゃくちゃ悪い人もいませんが、とってもいい人もあまりいない。
かなり人間という生活の中のリアリティを感じる内容でした。
これが映画化ということで、どんな感じの内容になるのか楽しみです。
あまり起承転結がない作品にはなるでしょうけど…。ドキュメンタリーのような雰囲気かな?
管理人は文庫版で読ませていただきましたが、巻末の小川洋子さんとの対談の内容もとても面白かったです。
作家どうしてもこんなにも感じ方、考え方、書き方が異なるのだなと。
もしご興味ある方がいましたら、読んでみてはいかがでしょうか。